インタビュー謝礼の相場と種類。渡し方のマナーまで解説

「ユーザーインタビューを企画しているが、謝礼をいくらに設定すれば良いかわからない…」
「謝礼の予算を立てたいけれど、社内を説得できるような相場感が知りたい」
「手配が簡単で、経費精算しやすい謝礼の方法はないだろうか？」

企業のマーケティング担当者やUXリサーチャーとして、ユーザーの生の声を聞くインタビューは非常に価値ある活動です。しかし、その準備段階で多くの担当者が頭を悩ませるのが「謝礼」の問題。金額が低すぎれば協力者は集まりにくく、高すぎれば予算を圧迫してしまいます。また、渡し方一つで企業の印象を左右することもあり、決して軽視できません。

そんなお悩みを抱える担当者のあなたのために、インタビュー謝礼に関するあらゆる疑問を解決します。形式別・対象者別の具体的な相場から、状況に応じて金額を調整するための判断ポイント、そして担当者の手間を削減する最新の謝礼方法まで、解説します。

この記事を読めば、自信を持って謝礼の予算を立て、スムーズに参加者を集め、プロジェクトを成功に導くための確かな知識が身につきます。

インタビュー謝礼の相場一覧【形式・対象者別】

読者が最も知りたい「謝礼の相場」を、まず結論として一覧表で示します。 これからインタビューを企画する際の、予算策定の基本的な目安としてご活用ください。もちろん、これはあくまで一般的な相場であり、実際の金額は後述する「謝礼金額を最終決定する4つの重要ポイント」を参考に調整することが重要です。

形式	対象者	謝礼相場（60分あたり）	備考
オンライン	一般消費者・学生	3,000円～8,000円	最も一般的な形式。場所を選ばず参加しやすいため、比較的協力者が集まりやすい。
	一般社会人	5,000円～10,000円	業務に関連する内容や、特定の経験を持つ人が対象。
	専門家・経営層	10,000円～50,000円	医師、弁護士、特定分野の技術者など。専門性の高さや希少性に応じて変動。
対面	一般消費者・学生	5,000円～10,000円	交通費や移動時間も考慮されるため、オンラインより高めに設定されるのが一般的。
	一般社会人	8,000円～15,000円	交通費は実費で別途支給する場合と、謝礼に含める場合がある。
	専門家・経営層	20,000円～	拘束時間が長くなるため、オンラインより大幅に高くなる傾向がある。
グループ	一般消費者・学生	5,000円～12,000円	複数人で同時に行う形式。発言の機会が限られるため、1対1よりは高額になることが多い。
	一般社会人	8,000円～20,000円	参加者同士の議論を促す場合など、より高度な貢献が求められる。

【形式別】インタビュー謝礼の相場

インタビューの実施形式は、謝礼の金額を決める上で基本的な要素です。それぞれの特徴と相場感を詳しく見ていきましょう。

• 1対1の対面インタビュー
  会場までの移動時間や交通費が発生するため、謝礼はオンライン形式よりも高めに設定します。一般的には、オンラインの相場に2,000円～5,000円程度上乗せした金額が目安です。製品の試用など、物理的なインタラクションが必要な場合に適しています。
• オンラインインタビュー
  近年主流となっている形式です。参加者は場所を選ばず参加できるため、地理的な制約なく幅広い対象者を集めやすいメリットがあります。謝礼は対面よりも抑えられますが、その手軽さから人気の形式です。
• グループインタビュー
  複数の参加者が同時に一つのテーマについて話し合う形式です。他の参加者の意見を聞きながら発言する必要があるため、1対1のインタビューよりも参加者の心理的な負担が大きくなる傾向があります。そのため、謝礼は1対1の形式よりも1.2倍～1.5倍程度高く設定されるのが一般的です。

【対象者別】インタビュー謝礼の相場

誰にインタビューするのか、という点も謝礼を大きく左右します。対象者の持つ専門性や経験の希少性が高いほど、謝礼の相場も上がります。

• 一般消費者・学生
  特定の製品やサービスに関する一般的な意見を求める場合がこれにあたります。比較的対象者を見つけやすいため、相場は他のセグメントに比べて低めになります。
• 特定の経験を持つ社会人
  特定の業界での勤務経験や、特定のツール・サービスの利用経験など、条件に合致する社会人が対象です。平日の日中などに時間を確保してもらう必要があるため、その機会損失を補う意味でも一般消費者より高い謝礼が設定されます。
• 専門家（医師、弁護士など）・経営層
  高度な専門知識や、企業の意思決定に関わるような貴重な情報を得るために行うインタビューです。対象者の時間単価が非常に高いため、謝礼も高額になります。最低でも1時間あたり10,000円、場合によっては50,000円以上になることも珍しくありません。なぜなら、彼らがインタビューに答える時間は、本来の業務でより高い価値を生み出せる時間だからです。この層への依頼は、敬意をもって適切な金額を提示することがプロジェクト成功の鍵となります。

謝礼金額を最終決定する4つの重要ポイント

前述の相場はあくまで基本的な目安です。実際の謝礼金額は、個別のインタビューの条件に合わせて調整する必要があります。ここでは、最終的な金額を決定するための4つの重要な判断基準を解説します。これらのポイントを総合的に考慮することで、社内でも説明しやすく、参加者にも納得してもらえる妥当な金額を設定できるでしょう。

1. インタビューの所要時間と拘束内容

謝礼を考える上で最も基本的なのが、相手をどれくらいの時間拘束するかです。注意すべきは、インタビューの時間だけを考慮するのではない、という点です。

例えば、60分の対面インタビューでも、参加者が会場まで往復で90分かかるとすれば、合計の拘束時間は2時間半になります。この移動時間も参加者にとっては負担です。謝礼を設定する際は、インタビュー本体の時間だけでなく、移動や待機時間を含めた総拘束時間を意識して、相場よりも手厚くすることを検討しましょう。

2. 求められる専門性の高さ

「誰でも答えられる質問」か、「特定の専門家でなければ答えられない質問」かによって、謝礼の価値は大きく変わります。

例えば、「普段使っているシャンプーについて教えてください」というインタビューと、「最新のクラウドセキュリティ技術の動向について、CTOの視点から意見を聞かせてください」というインタビューでは、求められる専門性が全く異なります。後者のような希少性の高い知見を求める場合は、相場よりも大幅に高い金額を提示しなければ、協力は得られないでしょう。

3. 事前準備の有無と内容

インタビュー当日以外にも参加者に作業をお願いする場合は、その負担に見合った追加の謝礼を考慮すべきです。

• 事前アンケートへの回答
• サービスやアプリの事前試用（例：1週間使ってもらうなど）
• 関連資料の読み込み

これらの事前準備には、参加者の貴重な時間が使われます。例えば、「1週間サービスを試用した上でインタビューに臨んでください」とお願いする場合、インタビュー本体の謝礼に加えて、試用期間の協力に対する謝礼として数千円程度上乗せすると、より丁寧な印象を与え、質の高いフィードバックが期待できます。

4. 顔出しや実名公開の可否

インタビューの内容を記事や導入事例として公開する際に、顔写真や実名の掲載をお願いする場合は、謝礼を上乗せするのが一般的です。

公開情報に個人情報が含まれることは、参加者にとって一種のリスクとなります。このプライバシーに関するリスクへの配慮として、通常の謝礼に加えて5,000円～20,000円程度を追加で支払うケースが多く見られます。協力に感謝し、リスクへの対価を支払うという姿勢を示すことが、良好な関係を築く上で重要です。

現金だけじゃない！インタビュー謝礼の種類と選び方

謝礼を手配する担当者にとって、その「種類」を選ぶ作業も重要です。特に経費精算の手間や、オンラインでの受け渡しのしやすさは、業務効率に直結します。ここでは現金以外の選択肢も含め、それぞれのメリット・デメリットを比較検討します。自社の運用フローやインタビュー形式に最適な方法を選びましょう。

謝礼の種類	メリット	デメリット	手配の手間	経費処理のしやすさ
現金・銀行振込	誰にでも喜ばれる	手渡し準備、振込手続きが煩雑	多い	領収書や振込記録が必要
商品券・ギフトカード	現金に近い利便性	購入、在庫管理、郵送の手間	やや多い	購入記録で処理可能
デジタルギフト	オンラインで即時送付可能	受取手のITリテラシーに依存	少ない	データ管理が容易
自社製品・サービス	コストを抑えられる、PRになる	相手に喜ばれない可能性がある	ケースバイケース	資産の振替処理などが必要な場合も

現金・銀行振込

最も一般的で、誰にでも喜ばれる確実な方法です。しかし、担当者の手間は最もかかります。対面の場合は新札や封筒の準備、お釣りの用意などが必要です。銀行振込の場合は、振込先情報を正確に管理し、経理部門と連携して一件ずつ手続きを行う必要があります。数十人規模のインタビューを行う場合、この作業は大きな負担になり得ます。

商品券・ギフトカード

JCBギフトカードやAmazonギフト券など、現金に近い感覚で使えるため、喜ばれやすい選択肢です。ただし、事前に金券ショップやオンラインで購入し、在庫を管理する必要があります。対面なら手渡しできますが、オンラインインタビューの場合は郵送する手間とコストがかかります。

【担当者におすすめ】デジタルギフト・電子マネー

オンラインインタビューが主流の現在、最も効率的でおすすめの方法がデジタルギフトです。

デジタルギフトとは、メールやSNSで送れる電子的なギフト券のことです。受け取った相手は、URLにアクセスして好きな商品（コンビニ商品、各種ポイント、Amazonギフト券など）に交換できます。

• メリット
  • 即時性: インタビュー終了後、その場ですぐにメールで送付できる。
  • 効率性: 郵送費や封入作業が不要。大量の送付もデータで一括管理できる。
  • 柔軟性: 受け手が好きな商品を選べるため、満足度が高い。

具体的なサービスとしては、法人向けデジタルギフトサービスの「giftee for Business」や、電子マネーとして送れる「QUOカードPay」などがあります。これらのサービスを活用すれば、謝礼手配の業務を大幅に効率化できるでしょう。

自社製品・サービス

自社製品やサービスを謝礼として提供する方法です。特に自社のファンを対象としたインタビューであれば喜ばれる可能性が高く、コストを抑えつつ自社製品のPRにも繋がります。

ただし、注意点として、相手が本当にその製品を求めているかを見極める必要があります。相手にとって価値のないものであれば、謝礼としての意味をなさず、かえって失礼にあたる可能性もあります。汎用性は低いため、慎重に検討すべき選択肢です。

担当者がおさえるべき謝礼の渡し方とビジネスマナー

謝礼の金額や種類が決まったら、次は「どう渡すか」です。渡し方のマナーは、企業の信頼性や丁寧さを伝える上で非常に重要です。ここでは、担当者が実務で迷わないための具体的なマナーと注意点を解説します。

謝礼を渡すタイミングはいつがベスト？

渡すタイミングは、インタビュー形式によって異なります。

• 対面インタビューの場合
  インタビューが終了し、相手が退出する直前に渡すのが最もスマートです。インタビュー開始前に渡すと、相手にプレッシャーを与えてしまう可能性があります。終了後、感謝の言葉とともに「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。些少ではございますが、こちら本日の御礼でございます」と一言添えてお渡ししましょう。
• オンラインインタビューの場合
  インタビュー当日から、遅くとも翌営業日中には送付手続きを完了させましょう。デジタルギフトであれば、終了後すぐにメールで送付できます。時間が経つほど相手は不安に感じてしまうため、迅速な対応が信頼に繋がります。

経費精算で注意すべき勘定科目と源泉徴収の要否

企業の担当者として、経費精算は避けて通れない業務です。謝礼の勘定科目や税務処理についても、基本的な知識をおさえておきましょう。

• 勘定科目は？
  インタビュー謝礼は、その目的によって勘定科目が変わることがあります。一般的には以下のいずれかで処理されます。自社の経理規定を確認し、不明な点は経理部門に相談しましょう。
  • 会議費: 社内向けの調査など、業務遂行上の情報収集が目的の場合。
  • 広告宣伝費: 記事コンテンツ制作や販売促進が目的の場合。
  • 接待交際費: 取引先など、事業関係者との関係構築が目的の場合。
• 源泉徴収は必要？
  「源泉徴収」とは、報酬を支払う側が、あらかじめ所得税を天引きして国に納める制度です。ただし、弁護士、税理士、ライター、デザイナーといった専門家個人に「報酬」として支払う場合は、源泉徴収が必要になるケースがあります。この場合、支払う謝礼（報酬）から所得税（基本は10.21%）を差し引いて支払い、天引きした税金を国に納付する必要があります。専門家に依頼する場合は、事前に源泉徴収の要否について確認しておくとスムーズです。

謝礼が決まったら次は記事制作。コンテンツの質で悩んでいませんか？

さて、ここまででインタビューの謝礼に関する準備は万全になったはずです。有益なインタビューを実施し、貴重な情報を得た後、次に待っているのはその情報をいかにして質の高いコンテンツに昇華させるか、というステップです。

「インタビュー内容は素晴らしいのに、うまく記事にまとめられない…」
「読者に響くコンテンツを作るノウハウが社内に不足している…」

もしあなたがこのような課題を感じているなら、コンテンツ制作のプロに相談するのも一つの有効な手段です。

「CROCOの記事作成サービス」は、記事制作数1億本以上、取引社数5,300社超という圧倒的な実績を持つコンテンツマーケティング支援サービスです。豊富な制作実績と蓄積されたノウハウで、貴社がインタビューで得た貴重な一次情報を、検索エンジンと読者の双方から高く評価される「成果につながるコンテンツ」へと昇華させます。

記事制作のみならず、戦略設計から運用支援までワンストップで対応可能です。コンテンツの質で悩んだら、一度その悩みをプロに相談してみてはいかがでしょうか。

5,300社超の実績を持つCROCOにコンテンツ制作の悩みを相談してみる
https://cro-co.biz-samurai.com/contact/

まとめ：相手への感謝が伝わる適切な謝礼でプロジェクトを成功に導こう

本記事では、インタビュー謝礼の相場から金額の決定ポイント、謝礼の種類、そして渡し方のマナーまで、担当者が知っておくべき実務知識を解説しました。

最後に、重要なポイントを振り返りましょう。

• 謝礼の基本は相場から: まずは形式別・対象者別の相場を把握し、予算の基準とする。
• 個別条件で金額を調整: インタビューの拘束時間や専門性、事前準備の有無などを考慮し、最終的な金額を決定する。
• 最適な謝礼方法を選ぶ: 担当者の手間やインタビュー形式を考え、現金だけでなくデジタルギフトなどの効率的な選択肢も検討する。
• マナーが信頼を築く: 適切なタイミングと丁寧な対応で謝礼を渡し、感謝の気持ちを伝える。

インタビュー謝礼は、単なる作業対価ではありません。貴重な時間を割いて協力してくれる相手への「感謝の気持ち」を形にしたコミュニケーションツールです。適切な謝礼を準備し、誠意ある対応を心がけることが、有益な情報を引き出し、ひいてはプロジェクト全体を成功に導くための重要な鍵とります。